第三話「駆り立てるのはSPとen、横たわるのは熊と鳥」

ギルド「ムーンダスト」、リーダーのヒーガンだ。
俺たちの無謀で寄せ集め的だったギルドも、
主力メンバーがLv30を越えて、
そろそろエトリアでも中堅どころのギルドと言ってもいいだろう。


今回は施政院の依頼を受けて、10階に鎮座するケルヌンノスの討伐を果たすまでの出来事を記そう。


8、9階では少し意地の悪い仕掛けがあったが、
散々迷ったお陰で経験値とお金が溜まり、
その時点では最高級だと思われる装備を買ったり、
パラディンのコロンさんがキュアIIを覚えたり、
レンジャーである俺が警戒歩行をLv4まで上げたりして、
迷宮の探索が飛躍的に効率アップしたのは大きい。
10階から8階の回復の泉までのアクセスの良さも、
今回の探索を楽にしてくれた要因だ。
10階の3度目の探索の時に、
例のブシドーとカースメーカーの二人に出会う。
相変わらずこっちの了承もなしに回復の水をぶっかけて来るが、
どうやらこんな親切な回復ポイントがあるのも、
ケルヌンノスがもう近くにおり、
そして強敵だと言うことが察せられる。
とりあえず全滅を覚悟しつつも、
ケルヌンノスまでのマップだけでも記しておこうと、
曲がりくねった長い道のりを進むことにする。


まぁ、ネットの情報はほとんど見ないようにしているが、
ケルヌンノスが強いという情報も見たことがないし、
防御陣形+守護の舞曲で鉄壁の守備を誇る我がパーティは
そう簡単に全滅しないであろう、という自信があったのも
引き返さずに前進した理由の一つだ。


強力な殺気を感じる扉の前に辿り着いた…
どうせ全滅するくらいなら、とメンバー全員のHPとTPを回復し、
扉を開ける。
眼前に巨大な影が佇んでいる。
こちらをねめつけながらゆったりとこちらに歩み進んでくる怪物…
こいつがケルヌンノスだ!
しかし…ケルヌンノスとかアリアドネとか世界樹とか、
神話の引用元がバラバラだな、このゲーム。
なんかの伏線に…なってる訳ないか。
余談だが、世界樹の迷宮発売前日に、アリアドネの出てくる
神話研究漫画を読んだのは、ちょっとシンクロニティだな。


ジニー「私はケルヌンノスっていうと、
ソウルハッカーズの日本昔話みたいな奴しか思い浮かばなかったけど…」
ヒーガン「人型で強力な腕力を誇る怪物と言ったら他にもいるだろうけどねぇ、
ミノタウロスとか。
でもミノタウロスは「ミノスの牛」って意味だし、
アリアドネの糸と関連があるからボスでは出せないだろうしなぁ」
コロン「リラックスするのはいいが、仮にも相手は第二階層を守護するモンスターだぞ、油断するな!
みんな!防御陣形を組めッ!」
ジニー「守護の舞曲もかけるよッ!
まもーるぞ〜へい〜わを〜にぃーぽんのォ〜♪」
ヒーガン「相手は見た目からして、腕力を活かした攻撃か、
叫びによるステータスダウンを使ってきそうだな。
トリックステップッ!
相手は素早さが低そうだし、これでやりすごせれば良いが…」
シキ「砕けろォ!!氷結の術式ィ!!
…200近くダメージいったね。
次は炎も試してみるけど、序曲かけるなら氷結の方がいいっぽいよ、ジニー!」
スタシア「その臭いお口を閉じなさいッ! ヘッドボンテージ!
クッ、ダメージはそこそこ与えられましたけれど、
封じは成功しませんでしたわ…
深い階層のFOEは封じが効きにくかったし、
封じは期待しない方がいいかも知れませんわ…」
ヒーガン「この1ターンで結構ダメージ与えられたし、
後は敵の攻撃に耐えられれば勝てそうだが…
ん? 奴は攻撃してくる様子を見せないぞ?」


ケルヌンノスは仲間を呼んだ! ヒーラーボールが現れた!


ヒーガン「クッ、こいつ回復までするのか…
しかしシキさんに大爆炎の術式を覚えてもらっておいてよかったな」
シキ「炎が通るかは分かんないけどね…!
大爆炎の詠唱、準備始めるよ!」
ジニー「戦いの舞曲!
胸のエンジン〜火ィをつぅけーろー!」
ヒーガン「よし、とりあえず補助は全部かかったな。
俺はダブルショットで様子を見る、コロンさんはケルヌンノスに集中して攻撃してくれ!」
コロン「おうよッ!」 ケンルヌンノスに攻撃。100チョイのダメージ。
ヒーガンのダブルショット発動!
ヒーラーボールを一体撃破!
ヒーガン「よし、あのボールは弱いぞ、
シキさんの爆炎で片付けてくれ!」
シキの行動前にヒーラーボール、甲羅の守りを使う。
そして次の行動でシキの大爆炎発動!
ヒーラーボールを片付ける。
ケルヌンノスには小ダメージ。
そしてケルヌンノスの攻撃では、パーティ全員小ダメージ。


ヒーガン「ヨシッ、相手のHPはもうすぐはんぶんってとこだな。
このまま畳み掛けるぜッ!」


ジニーの氷劇の序曲の効果もあり、毎ターン大ダメージを与えて
ケルヌンノスのHPはもう赤い。

ヒーガン「このまま1ターン攻撃すればやれそうだな。
コロンさん、スタシアは通常攻撃を、
シキさんは氷結の術式!
ジニーは俺に序曲かけてくれッ!」


次のターンの最初、ケルヌンノスの行動はクロスカウンター…
ヒーガン「ヤバイ! コロンさんとスタシアはなんとか耐えてくれ…!」
スタシアの攻撃、200近いダメージを与えるも、カウンターで500喰らって撃沈。
コロンもまたカウンターで撃沈。

シキ「前衛二人はやられたけど、相手のHPは残り少ないよ!
一気に畳み掛けよう!」
ヒーガン「コロンさん、スタシア、すまん…
凍り属性アタァァックゥ!」


死亡者を二人だしながらも、我々はなんとかケルヌンノスに勝利した。
施政院の偽善者っぽいメガネに報酬をもらいつつ、
メディックがいないながらも強敵に勝てるこのパーティは、
なかなかのモノだろう、と思いつつ宿場でヘトヘトになった体を休ませる
ムーンダストのメンバーであった。